長年建築士としてご活躍のG様、自宅に置くソファに「HIBIKI」を選んでくださいました。
革は、ブラック、ネイビー、ダークグリーンと、光によって色が変化するヴォーノ#6。HIBIKI(ヒビキ)では、この革を選ぶ方が多いです。使い込んでいくと黒光りしてくる、栃木レザーの逸品です。急斜面な崖の上に建っている家で、見晴らしがよくて木々に囲まれた素晴らしい立地です。
聞けば、傾斜地に家を建てることを得意としていらっしゃるとのこと。豊富な経験があるGさんだからこそ選ばれたこの場所だなと納得しました。ご夫婦二人の仕事場も兼ねたご自宅には、驚くほどたくさんの書棚があります。建築の資料だけでなく、収集された貴重な書籍も並ぶのでしょう。
居間には、ソファとストーブ、そして本を整理するための脚立のみが置かれるそうです。四方を本に囲まれて、まるでシックな図書館のようなリビングになりました。この設計プランをお客さんに提案するとしたら、ちょっと勇気が必要かもしれませんね。
実は、吹き抜けの壁面にも書棚があります。
この書棚の向かいには、仕事場となる書斎が作られるとのこと。ストーブの暖かい空気が、家の中全体を温めてくれるのでしょう。ソファから見ると、入ってくる光が、白い吹き抜けに陰影を作り、暮らす人に時の移ろいを告げてくれるようです。
ストーブにあたりながら、ゆっくりと読書にふける。気がづけば光が変化して、時間が経ったことを知らせてくれる。時計ではなく、光の変化で一日を感じることができる。そんな素敵な居間になっています。かっこいいスイッチに、真鍮の取手。その向こうには、白く写ってしまいましたが、コンクリートで作られた、大きなダイニングテーブルがあります。
そして、ソファと同じ革で自作されたという、ドアの引手が。
ギリギリまで狭く作られた通路に出っ張る引手は、引っかかっても良いように革にされたとのこと。 傾斜地に図書館のようなリビング、コンクリートのダイニングテーブルに革の引手。「建築家の自宅は実験の場ですよ。」と言いながら、ここでの暮らしを楽しむ二人が目に浮かぶようです。 10年、20年と時が過ぎ、この家やここでの暮らし方や、どう変わっているのかを、また見に来たいなと思うお家でした。写真・文章:心石